見た目通り鬼嫁らしく
A男夫婦の鬼嫁ネタは仲間内で鉄板だった。
会社でもA男といえば「ああ鬼嫁持ちの」
と言われるほど有名だったらしい。
口答えできない、
嫁の洗濯までさせられるなどの
エピソードが有名だった。
ある年の集まり、
いつものようにA夫妻を
鬼嫁ネタで皆がいじっていると
突如A嫁が泣き出した。
A嫁は女性陣に支えられ
泣き崩れながら帰っていった。
半年経たずしてA夫婦は離婚した。
A嫁は別に鬼嫁でもなんでもなく、
どっちかというと卑屈な人だったらしい。
A家はむしろ亭主関白で、
A嫁は北斗晶みたいな見た目が
コンプレックスで
「こんなガタイだし笑ってもらえた方が…」
とノリで皆に合わせていただけだった。
Aは最初はウケたから
繰りかえしてただけだったんだが
会社でも親戚相手でも言うようになり、
A嫁さんはどこへ行ってもすっかり鬼嫁ポジション
姑には完全に「息子を敬わない嫁」
と嫌われてしまった。
Aは店に行きまくり。
そのさなか、俺らに鬼嫁ネタでいじられ、
限界を超え泣いてしまったという流れだった。
A嫁が泣いた時送っていった女性陣が事情を聞き
それが仲間内に広まった。
知らなかったとはいえ鬼嫁ネタで
A嫁をいじった経験がある奴は罪悪感を覚え、
集まりに来なくなった。
Aが誘われることもなくなり、
集まりは自然消滅してしまった。
その集まりによく来てた奴が
結婚したと聞いて思い出した話だ。
ちなみに結婚式にかつての仲間は
二人しか招待されなかったらしい。
別にA嫁の復讐ってわけじゃないが、
1つの仲間が完全に瓦解した。